退屈な日常を破るのに、最も手軽でありながら、最も深く侵食するのが電子書籍というやつだ。指先ひとつで千冊を手中に収め、快楽と知識を同時に貪るこの装置──よくできている。
では、どのサービスがもっとも愉悦に満ちているのか。魔王の視点で、4つの電子書籍サービスを解体してやろう。
目次
■ Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド)
欲望の飽和地帯。
月額で膨大な書物を読み漁れるこのサービスは、まさに知的暴食の楽園。ジャンルの偏りと玉石混交はあるが、それすらも当たりを引く遊びとして許容できる者には堪らない。
ラインナップにはビジネス書や自己啓発も多く、自己強化の快感を得やすい。だが、契約が切れると読めなくなるのは束縛だ。自由に見えて、意外と首輪がきつい。
■ Kindle(個別購入)
所有という名の支配。
このサービスの本質は、「この知識は我のものだ」と言い張る快感にある。紙に近い体験を好む者にも、画面の調整で対応可能。
セール時にはKindle Unlimited対象書籍とは別ラインで狙い撃ちが可能。収集癖がある者や、読書履歴に所有感を求める支配者タイプに向く。
■ 楽天Kobo
反逆者の静かな選択。
Amazonに魂を売りたくない──そんな者たちの拠点がここだ。楽天経済圏との連携により、実質的な還元率が高く、書籍価格以上の利益を感じさせる。
UIや検索性ではやや劣る点があるが、地味な外見に騙されてはならぬ。見た目以上に堅実なのは、忠実な臣下としては合格だ。
■ DMMブックス
快楽特化型、堕落の宮殿。
セール時の還元率の高さと、ジャンル特化(特にコミック・アダルト系)の圧がすさまじい。中毒性のあるラインナップは、堕ちる喜びを知る者向け。
また、購入時のポイントが後から戻ってくるというあと引く甘さが絶妙だ。欲望の微細な揺れを見抜いた設計に、同族として拍手を送りたい。
■ 魔王の結論

我が推すは──目的次第、だ。
知識を貪りたいならUnlimited、所有欲を満たすならKindle。経済圏を活かすならKobo、欲望を素直に委ねるならDMM。
貴様がどの欲に支配されているかで、選ぶべき道は変わる。だが一つ確かなのは、「読むという行為は、内なる支配を可視化する儀式」だということだ。
書を選ぶとは、己を暴くこと。我と共に選び、堕ちるがいい──フフフ。



