やっちまったな
っていう感覚はさ
行為そのものより
そのあとに来る「オレ最低だ」の声のほうが
よっぽどきつかったりする。
画面を閉じたあと
手を洗ったあと
ベッドで天井を見上げた瞬間
うわ またかよ
なんでオレは学ばないんだ
マジで終わってる
そうやって
自分の頭を殴り続けてないか。
先に結論を言う。
その
恥ずかしさ
罪悪感
自己嫌悪
ぜんぶ
依存を止めるブレーキにはなってない。
むしろ
依存を強化するガソリンになっている。
だからここでは
恥と罪悪感ってそもそも何者なのか
どうやって依存行動を強くしてしまうのか
自己嫌悪ループから少しずつ降りるにはどうすればいいのか
この三つを
オレの言葉で分解していく。
目次
■ 恥と罪悪感はそもそも何が違うのか
まずここを分けておかないと話がぐちゃぐちゃになる。
恥と罪悪感は似てるけど
フォーカスしている場所が違う。
ざっくりこうだ。
恥
オレという存在そのものがダメだ
と感じる感覚
罪悪感
オレのした行動が間違っていた
と感じる感覚
恥は
存在にダメ出しをする。
罪悪感は
行動にダメ出しをする。
性に関する行動は
ここを両方同時に刺激しやすい。
例えば
またエロを見た
またあの行為をした
というとき
やってしまった行動に対する罪悪感と同時に
こんなことをやめられないオレは
人として終わってる
という
存在レベルの恥が重なってくる。
この二つがミックスされると
何をどう直せばいいか分からない
オレ丸ごと消えてほしい
みたいな気分になる。
ここから
かなり危険なループが始まる。
■ 行為のあとに押し寄せる自己嫌悪の流れ
ざっくり
こんな流れになってないか。
行為前
不安 寂しさ 退屈
どれかが溜まってきて
気晴らしを求めてスマホやPCを開く
行為中
ドーパミン全開
高揚 感覚の強さで
一瞬だけ他のことを忘れる
行為後
一気に現実に戻る
頭が冷える
時間の経過や
使ったエネルギーに気付く
そこに
こういう言葉が乗ってくる。
またやった
本当に学ばないな
オレの意志はゴミだ
人として終わってる
この「評価」が
オレという存在丸ごとに向かっていく。
で
これを何度も繰り返すと
どうなるか。
自分への信頼感が
じわじわ削れていく。
オレはどうせまたやる
オレはコントロールできない
オレは弱い
そう信じ込ませる練習を
自分で続けている状態になる。
その結果
どうせオレはこういう人間だから
というあきらめが強くなる。
これが依存ループには最悪だ。
■ 自己嫌悪はブレーキじゃない ガソリンだ
多くのやつが勘違いしているのがここ。
自分を責めれば責めるほど
次は気を付けようとするはずだ
っていう考え方。
現実は逆だ。
自己嫌悪が強いほど
現実から逃げたくなる。
だって
自分という存在を
お前はダメだ
価値がない
最低だ
って毎日殴っていたら
その自分で日常を生きるの
めちゃくちゃ苦痛だろ。
苦痛が強いほど
逃げ場が欲しくなる。
そこで一番手っ取り早く
気を紛らわせてくれるのが
いつもの依存行動だ。
飲む
食べる
ゲーム
SNS
そして性
自分を殴る
現実がつらくなる
つらさから逃げたい
いつもの行動でごまかす
このセットが出来上がると
自己嫌悪はもう
行動を止めるブレーキじゃない。
完全に
依存を回し続けるガソリンだ。
■ 恥と罪悪感が「誰にも言えない」をつくる
もう一つ
恥と罪悪感には
厄介な副作用がある。
それが
誰にも言えない
を強化すること。
性に関する話題って
ただでさえ人に出しにくい。
そこに
こんなことしてるなんて知られたら終わりだ
軽蔑される
離れていかれる
っていう想像が乗る。
恥の感覚は
顔を上げられない自分をつくる。
罪悪感は
こんなことをした自分には
話す資格なんかない
って思わせてくる。
その結果
本当は誰かに聞いてほしいのに
誰にも話さない
という選択を
延々と続けることになる。
で
心の中の秘密ってやつは
外に出せないほど
勝手に大きくなる。
誰も何も言ってないのに
自分の中では
オレは人として終わっている
ぐらいのレベルまで
話が膨らんでいく。
この膨らみが
また現実を生きづらくする。
生きづらくなるほど
逃げ場としての依存が美味しく見える。
はい
またガソリン。
■ 自己嫌悪ループはこう回っている
一度整理してみよう。
自己嫌悪ループはだいたいこうだ。
1 やってしまう
ストレスや寂しさから
いつもの行動に走る
2 スッキリしたあとに自己嫌悪
楽しさは一瞬
その後に恥と罪悪感が押し寄せる
3 自分を殴る
オレは弱い
オレは終わってる
なんでやめられないんだ
4 現実がさらにきつく感じられる
自分を見るのも嫌になる
人とも距離を置きたくなる
5 逃げたい欲求が高まる
今だけ忘れたい
何も考えたくない
6 また同じ行動へ
こうして
丸いループが完成する。
この輪の中にいる限り
どの地点でも
オレはダメだ
に戻ってしまう。
この構造を知らないと
やめるために自分を責めているつもりが
やめられない仕組みを自分で強化している
という悲しい状態になり続ける。
■ 恥と罪悪感を「減らす」じゃなく「扱い方を変える」
じゃあどうするか。
恥も罪悪感も
完全にゼロにすることはできない。
ていうか
ゼロにしたほうが危ない。
罪悪感は本来
本当はこうありたかった
っていう自分の価値観を教えてくれるサインだ。
恥は
ここを越えられたら
自分で自分を見ていられない
っていう境界線を教えてくれるサインだ。
だから
感じるな
じゃなくて
どう受け取るか
を変えるのがポイントになる。
例えば
またやってしまった
オレは最低だ
で終わらせるんじゃなく
またやってしまった
それだけオレは
こういうことで苦しいってことか
まで持っていく。
罪悪感が湧いたとき
本当はどうしたかったのか
を一行でいいから書いてみる。
例えば
もっと早く寝たかった
安心して眠りたかった
誰かと話して落ち着きたかった
こんな感じで
罪悪感を
オレの本音を教えてくれるメモ
として扱う。
恥も同じ。
ああ こんな自分を知られたくない
そう感じるとき
本当はオレはどう見られたかったのか
を探してみる。
ちゃんとしている人
コントロールできる人
大事な相手を大事にする人
そういう像に近づきたいっていう欲求が
そもそもあったはずだ。
恥と罪悪感は
オレが本当は大事にしたいもの
の影のようなものだ。
罰じゃなく
情報として扱う。
それだけで
自己嫌悪ループの勢いは落ちていく。
■ 自己嫌悪ループをほどくための小さなステップ
ここからは実践だ。
いきなり
もう二度と自分を責めない
とか無理ゲーを宣言すると
秒で折れる。
だから
現実的な三つだけ出す。
一つ目
自己攻撃ワードを一つだけ封印する
オレなんか
マジでゴミ
終わってる
普段頭の中で使っている言葉があるはずだ。
その中から
一番刺さるやつを一個だけ選んで
今日からそれだけは使わない
と決めてみろ。
代わりに
今日も生き延びたな
まあ よくやってるよ
くらいの
雑な中立ワードに差し替える。
これだけでも
自分を殴る頻度は少し下がる。
二つ目
やってしまったあとに いつもより一文だけ長く書く
またやった
最低
で終わらせるんじゃなく
またやった
最低
それくらい今のオレはしんどいんだな
ここまで書く。
そうすると
ただ殴るだけ
から
殴りながらも状況を見ている
状態に変わる。
観察が入ると
ループは弱くなる。
三つ目
匿名か安全な場所で 一回だけ言葉にしてみる
信頼できる友人でもいいし
カウンセラーでもいいし
匿名掲示板や相談窓口でもいい。
全部話さなくていい。
こんなことがやめられなくて
自己嫌悪がきつい
この一文だけでもいい。
誰かに届く場所に出した瞬間
その秘密は
お前一人が抱えている荷物じゃなくなる。
それだけで
心の中の圧力は下がる。
秘密は
完全に一人で持つほど
心を食う。
少しでも外に出したら
それはもう
お前と世界で分け合う荷物だ。
■ 自己嫌悪ループの外側から お前を見る視点
最後に
オレから一つだけ
強めのメッセージを置いておく。
恥と罪悪感が強いってことは
最低でも二つ
確かなことがある。
一つ
お前はちゃんと
自分の行動を見ているってこと。
完全に麻痺していたら
恥も罪悪感もそもそも出てこない。
二つ
お前は本当は
もっとマシな生き方をしたいと思っているってこと。
今の状態を
本音では良しとしていないからこそ
その感情が湧いている。
つまり
恥と罪悪感で苦しんでいる時点で
お前はすでに
変わりたい側の人間
なんだよ。
ただ
その力を
自分を殴る方向にしか使えてない。
そこだけ
オレと一緒に
ゆっくり方向を変えていこうぜ。
恥と罪悪感は
依存を強化するガソリンにもなるし
自分の本音を照らすライトにもなる。
どっちとして使うかは
これからの選択だ。
もしこの話が刺さったなら
性依存は意志が弱いからではない
快楽の後に虚しさが残る理由
あの二つの記事も合わせて読んでこい。
自己嫌悪ループの輪っかを
一個ずつ外していくための言葉は
まだまだ渡せる。
オレはそれを
お前が自分を殴るのをやめる日まで
何度でも書く。




