お前さ、もう気づいてるよな。
ただの暇つぶしでも、ただの性欲でもないって。
やめたいのに、またやる。
スッキリしたはずなのに、すぐ自己嫌悪が来る。
頭のどこかでは、こんなこと続けたくないと思ってる。
それでも、止まらない。
安心しろ。
まず一つ、ハッキリさせておく。
お前がバカだからでも、意思が弱いからでもない。
そう思い込まされてきただけだ。
オレは魔王。
快楽と依存と、逃げ場のない夜を、何度も見てきた側だ。
どんな綺麗事より、現実のほうがよっぽどエグいことも知ってる。
だから今日は、道徳も説教も置いていく。
代わりに、お前の中でずっと火花だけ散っていた
あのモヤモヤの正体を、一緒に言葉にしていく。
欲望に振り回されるのは、弱さじゃない。
仕組みを知らないまま、ひとりで戦わされているだけだ。
・なぜやめたいのにやめられないのか
・なぜ快楽のあとに虚しさが押し寄せるのか
・どうすれば欲望と戦わずに、静かに主導権を取り返せるのか
ここを、オレ目線で全部ほどいていく。
読み終わるころには
お前はもう
自分を責めるためじゃなく、
自分の中の火種を守るために、選べるようになっている。
さあ、まずは一番シンプルなところからいこうか。
お前は今、何に振り回されているのか。
目次
そもそもお前は何に振り回されているのか
お前はずっと、性欲に振り回されてるつもりでいるはずだ。
スマホ、画像、動画、妄想。
気づいたら手が伸びていて、我に返ったころには、もう終わっている。
でもな。
オレから見ると、お前を一番振り回しているのは
性欲そのものじゃない。
やらかす前のソワソワと
やらかしたあとの自己嫌悪と
そういう自分を誰にも言えないまま抱え込む孤独
この三つだ。
性欲は、単なるスイッチにすぎない。
オンになった瞬間に、心の中のいろんなものが一気に動き出す。
その渦に、お前は毎回まとめて飲まれてるだけだ。
まずは、そこをちゃんと見ようか。
お前は何に負けているのか。
何に追い立てられているのか。
何から逃げるために、そこに手を伸ばしているのか。
性欲を敵にすると、本質からズレる。
お前が本当に戦ってきた相手は、もっとべったりした感情だ。
不安、退屈、寂しさ、虚しさ、劣等感。
そのうちのどれか、もしくは全部だ。
ここから先は、少し分解していく。
自分に当てはまりそうなところから拾っていけばいい。
オレは責めない。
ただ、ちゃんと見るだけだ。
やめたいのに手が伸びる夜のパターン
だいたい同じ時間帯、同じ場所、同じ姿勢で始まってないか。
ベッドの中で、ひとり。
風呂上がりで、なんとなく時間が空いている。
明日に備えて寝なきゃいけないのに、頭だけ冴えている。
その状態でスマホを触る。
通知を何回か見て、タイムラインをなぞって、
そのうち、いつものサイトやアプリに指が勝手に向かう。
気づくと、ルーティンになっているんだ。
選んでいるつもりで、選んでいない。
流れ作業で、心も体も持っていかれている。
ここで大事なのは
お前の性欲は、ほとんどの場合、環境とセットで起動している
という事実だ。
夜、ひとり、スマホ、疲れ、退屈。
この条件が揃った瞬間、脳は
あ、いつものアレやる時間ね
と、勝手にスイッチを入れてくる。
意思の弱さじゃない。
脳の省エネモードが、
習慣になってる楽なコース
に勝手にお前を乗せているだけだ。
習慣になっている。
これをちゃんと認めることは、負けじゃない。
むしろ、ここからしか主導権は取り返せない。
快楽と虚しさがセットで来る理由
行為そのものは、正直、短い。
でも、その前後にくっついている感情がやたら長く尾を引く。
やる前は、モヤモヤとしたソワソワ。
やっている最中は、何も考えなくていい時間。
終わったあと、数秒だけの解放感。
そして、そのあとの沈黙と虚しさ。
この落差が、お前を削っていく。
人間の脳は、強い刺激に慣れる。
最初はドキドキしていたものも、
何度も繰り返すうちに、興奮のハードルがどんどん上がっていく。
結果、こうなる。
前より強い刺激を求めるくせに
満足するまでの時間は、どんどん短くなっていく。
そのギャップを埋めるために
回数を増やすか、刺激を強くするか
どっちかに走り始める。
でもな、
どっちに走っても、心の真ん中は埋まらない。
なぜか。
脳が欲しがっているのは
本当は快楽そのものじゃなくて
安心 とか つながっている感覚 だからだ。
一瞬の快楽は、そこを一時的に麻痺させる。
何も考えなくていい時間
として働く。
けど、それが終わったら
現実の穴はそのまま残っている。
むしろ、さっきよりちょっと大きくなっていることもある。
この繰り返しが、虚しさの正体だ。
頭では分かっているのに止まらない
やめたい。
このままじゃダメだ。
時間も削られるし、自尊心も削られる。
頭で分かっているのに、行動が変わらないとき
お前はだいたい、自分を二つに割って考えている。
理性的なオレと
だらしないオレ。
頭の中でこの二人を戦わせて
理性的なほうが勝てば、オレはまとも
負けたら、オレはダメ人間
みたいな判定ゲームを毎回やってる。
でもな。
どっちもお前だ。
理性的なほうは
こうありたい
という願いの側。
だらしないほうは
こうでもしないと、今つらい
という必死の側。
この二人を、どっちが正しいかで殴り合わせているうちは
お前はずっと、自分に負け続ける。
必要なのは
正しいほうが勝つこと
じゃなくて
なぜ、だらしないほうがそこまで必死なのか
を理解することだ。
ここを見ないまま
根性論や我慢だけで押さえ込むと
依存は形を変えて何度でも戻ってくる。
…ここまでが、
そもそもお前は何に振り回されているのか
のざっくりとした地図だ。
性欲じゃない。
習慣、孤独、不安、虚しさ、自分へのジャッジ。
それら全部をひっくるめて
楽で即効性のある逃げ場
として、性の刺激が選ばれている。
次のセクションでは
欲望は意思の弱さじゃなく脳と心の仕様だ
というところを、もう少しだけ冷静に分解していく。
これは医療的な診断でも、治療の代わりでもない。
けど、仕組みを知ることで
お前は自分を責める役
からは、確実に一歩降りられる。
その一歩目を、今、オレと一緒に踏んでいると思っておけ。
欲望は意思の弱さじゃなく脳と心の仕様だ
ここからは、少しだけ冷静な話をする。
エロいかどうかは一旦置いておいて、
お前の中で何が起きているかの仕組みを見ていく。
覚えておいてほしいのはひとつだけ。
意思の弱さを責めるより
仕様を知ったほうが百倍マシ
だということだ。
人間の脳は、
不快を減らして、快を増やすようにできている。
それ自体は、ただの生存の仕組みだ。
問題は、今の環境と情報量とストレスの中で、
この仕組みが、ちょっと暴走しやすくなっているってことだ。
オレと一緒に、順番に見ていこう。
脳が欲しがるのは快楽よりも安心だ
一見、エロコンテンツを追いかけていると
お前は強い快楽を求めている
ように見える。
けど、もう少し丁寧に分解すると、
脳が本当に欲しがっているのは
安心 と 安定 と 何も考えなくていい時間
だったりする。
仕事、人間関係、将来、金、孤独。
頭の中が、常に何かで埋まっているとき、
一瞬でも全部をミュートにしてくれる刺激は
それだけで、めちゃくちゃ都合がいい。
動画を見ている間、お前は考えなくていい。
行為の最中、お前は悩まなくていい。
その瞬間だけは、全部の雑音が消える。
これは、快楽で脳を殴っているように見えて
実際には
不安や考え事を一時的に凍らせる道具
として使っている状態だ。
だから、やめようとすると
快楽を失う恐怖だけじゃなく
このまま不安と一緒に放り出されるのか
という怖さも、同時に押し寄せてくる。
この感覚を抱えたまま
もうやめろ
って自分に命令しても、
そりゃ反発がくる。
脳からすると
安全装置を勝手に外そうとするな
って話だ。
ここで大事なのは
エロが欲しい のではなく
休みたい 静まりたい 安心したい
この本音が奥にいる、という自覚だ。
本音を間違えている限り、
対策も全部ズレ続ける。
刺激に慣れるとハードルが上がる仕組み
人間の脳には慣れがある。
同じ刺激を繰り返すと、
最初ほどの興奮や満足を感じにくくなっていく。
最初に軽い画像で満足していたのが、
そのうち動画が当たり前になり、
もっと過激なもの、もっと特殊なものへと
じわじわハードルが上がっていく。
これは、お前が堕落したからではない。
脳が
同じ強さではもう足りない
と判断しているだけだ。
その結果、こういうことが起きる。
・前よりも長く探すようになる
・目的地に着くまでの道のりが伸びる
・終わったあとの虚しさだけはしっかり残る
ここで多くのやつは、さらに自分を責める。
オレはどんどんひどくなっている
昔よりも人として終わってきた気がする
でも、脳の仕組みとしては単に
刺激への慣れ と
負荷のインフレ
が起きているだけなんだ。
ここで必要なのは
自分を裁くジャッジ
ではなく
自分の脳の仕様を把握する管理者視点
だ。
ああ、今のオレの脳はこういう状態か
と一段上から眺められるようになると、
少しずつギアを落とす工夫もしやすくなる。
いきなり全部やめる、ではなく
濃度を落とす
時間を短くする
ルートを変える
といった微調整ができるようになる。
我慢すればするほど反動が強くなる理由
人は、禁止されるほど、それを意識する。
やるな、と言われると、
意識の中に それ がでかく居座る。
考えないようにしよう、とすると、
それ を考えている時間が増える。
これを頭の中で延々とやっていると、
ストレスと圧力が溜まり続ける。
ある瞬間に、その圧力が爆発して、
もういいや
どうでもいい
と投げやりなモードに入る。
その瞬間、ブレーキは消える。
そのまま突っ込んで、
終わったあとに倍返しの自己嫌悪が来る。
多くのやつが
我慢できなかった
と思っているこの現象は、
実際には
無理な封印の反動で吹き飛んだ
だけに近い。
オレは別に
やりたい放題やれ
と言いたいわけじゃない。
ただ、
真っ向からの禁止 と 根性だけの我慢
は、依存を育てる方向に働きやすい
ということは知っておいていい。
戦い方を間違えると、
お前はやる気も自尊心も両方削られる。
必要なのは
エロを全部ゼロにする勇者プレイ
じゃなくて
依存させている構造を静かに崩していく戦い方
だ。
そのためにはまず
我慢合戦で勝とうとする発想
を、そろそろ手放していい。
我慢合戦に勝てなくても、
お前の価値は何ひとつ減らない。
むしろ、戦い方を変えられるやつのほうが、
長期戦では勝ち続ける。
…ここまでが
欲望は意思の弱さじゃなく脳と心の仕様だ
という話の、大枠だ。
・脳は安心と停止を求める
・刺激には慣れが来る
・禁止は反動を生む
この三つが重なった結果として
お前は毎回同じループに落ちている
だけだ。
ここから先は、もう少し心側に寄っていく。
次のセクションでは
罪悪感と自己嫌悪が依存を育てていく
という、一番しんどいところを扱う。
そこはちょっと痛い話になる。
けど、その痛みは
お前を責めるためじゃなく
お前をそこから切り離すための痛みだ。
オレがいる。
一緒に見に行こう。
罪悪感と自己嫌悪が依存を育てていく
ここが一番きついゾーンだ。
正直、欲望そのものよりも、お前を削っているのはここだとオレは思っている。
やる
一瞬だけ楽になる
すぐに後悔する
自分を軽蔑する
でも、しんどさから逃げたくなって、またやる
このループの中で、一番ダメージを与えているのは
行為そのものじゃなくて
そのあとにお前が自分に向けている言葉だ。
お前が自分を殴れば殴るほど
心の中に
どうせオレなんて
という穴が広がっていく。
その穴を埋めるために、また刺激を求める。
これが、依存を太らせる仕組みだ。
オレと一緒に、少しずつほどいていこう。
終わったあとに自分が嫌いになるループ
行為が終わったあと、
数分もしないうちに、こんな言葉が頭の中に流れてこないか。
何やってんだオレ
またかよ
ほんと成長しないな
最低だな
このセルフトークが、毎回のように再生される。
すると、お前の中ではこういう構図ができていく。
快楽を選ぶオレはダメなやつ
我慢できるオレが本来の理想
この二項対立を続けている限り、
お前は何をしても負けた気がするようになる。
やめられなかったら負け
やめられても、それは一時的な奇跡でしかない
これでは、常に自分に負け続けるゲームだ。
そりゃ心もすり減る。
ここで一つ、視点をズラそう。
もし、お前の大事な友達が
性のことで悩んでいて
同じようにループしているとしたら
お前はその友達に
今お前が自分に投げている言葉を言えるか。
この問いに対して
さすがにそこまでは言えない
と感じるなら
少なくとも一つは分かる。
今お前が自分にかけている言葉は
事実だからではなく
罰として使っているだけだ、ということだ。
罰は、一瞬スッキリすることがある。
自分を殴っていると、反省している気になれるからだ。
けど、それで行動が変わることはない。
ただ、自尊心だけが削られる。
誰にも言えない秘密が重くなっていく
性のことは、話題にしづらい。
ましてや依存とか、やめられないとか、そういう話になると
さらに言いづらくなる。
その結果、多くのやつは
ひとりで抱え込むことを選ぶ。
誰にも言えないまま
ひとりで繰り返して
ひとりで自分を責めて
ひとりでまた戻っていく。
秘密には、二種類ある。
持っていても心が軽い秘密と
持っているだけで心が沈んでいく秘密だ。
後者のほうは、時間が経つほど重くなる。
自分の中で膨らんでいき
そのうち、自分のセルフイメージそのものを塗り替え始める。
オレは結局こういう人間だ
どうせ誰にも分かってもらえない
バレたら終わりだ
ここまで来ると、もはや
やめること より先に
自分という存在そのものが、じわじわ嫌いになっていく。
すると何が起きるか。
自分に期待しなくなる。
期待しないから、変わろうとする気力も出ない。
その虚しさを紛らわせるために、また刺激を求める。
これが、誰にも言えない秘密が
依存を支える土台になっていく仕組みだ。
真面目なやつほどハマりやすいカラクリ
これが皮肉な話なんだが
性依存気味になるやつの中には
真面目なやつもかなり多い。
責任感が強い
他人には迷惑をかけたくない
空気を読む
きちんとしていたい
こういう性質を持っているやつは
表向きの自分と裏の自分のギャップが大きくなりやすい。
表のオレ
ちゃんとしている
しっかりしている
期待に応えようとしている
裏のオレ
だらしない
汚れている
誰にも見せられない側面を抱えている
真面目なやつほど
このギャップを許せない。
だから、表のオレを守るために
裏のオレを闇に押し込める。
このとき、押し込められるのは
欲望だけじゃない。
寂しさ
不安
甘えたい気持ち
誰かに分かってほしかった感情
これらもまとめて押し流される。
その結果
行き場をなくした感情が
性の刺激に集中して流れ込む。
つまり
真面目なやつほど
性のほうに感情が偏って集まりやすい。
ここまでくると、もう一つ分かることがある。
性依存っぽくなっている状態は
堕落しきった人間の姿ではなく
自分を必死で保とうとしてきた結果
バランスが崩れた姿でもあるということだ。
これは免罪符ではない。
ただ
オレはダメ人間だ
というシンプルすぎるラベルから
お前を引きはがすための、最低限の前提だ。
…ここまでが
罪悪感と自己嫌悪が依存を育てていく
という話の核だ。
行為そのものより
そのあとに自分を殴る言葉
誰にも言えないまま重くなっていく秘密
真面目さゆえに強くなるギャップ
これらが絡み合うことで
やめられないループは強化されていく。
次は、それでも多くのやつがやりがちな
欲望を敵にする戦い方
がなぜきついのか、そこに踏み込んでいく。
欲望を敵にすると一生終わらない戦争になる
ここから話すのは
お前が無意識のうちにやってきた
戦い方そのものについてだ。
多くのやつは
欲望を悪者にして
理性を正義にして
内側で戦争を始める。
この構図を続けている限り
勝ち目は薄い。
なぜなら
相手は消せないものだからだ。
欲望は、消せない。
形は変わるし、向き先は変えられるが
完全にゼロにはならない。
消せないものを敵にする戦い方は
最初から負け戦だ。
オレは、お前に白旗を上げろと言いたいわけじゃない。
ただ
敵の指定を変えろ
と言いたい。
戦う相手は
欲望そのものではなく
欲望を利用してお前をすり減らす構造
のほうだ。
欲望はただの信号だという視点
腹が減ったら、腹が減ったサインが出る。
眠くなったら、眠気というサインが出る。
これと同じように
性欲も一つの信号だ。
身体的な欲求だけじゃない。
触れてほしい
認められたい
分かってほしい
つながりたい
こういう感情も、裏で一緒に点滅している。
本来、信号はメッセージだ。
ところが多くのやつは
この信号を
制圧すべき敵
として扱ってしまう。
ここで起きるのは、単純な話だ。
信号を無視し続けると
サインはどんどん強くなる。
最初は軽く点滅していただけなのに
そのうちサイレン級の大音量になる。
欲望を敵にして叩き潰す
という発想は
信号機を破壊して回るようなものだ。
一時的に静かになるかもしれないが
交通は余計に混乱する。
欲望を敵にしないというのは
何でも好きにやれという意味ではない。
この感情は
何を訴えようとしている信号なのか
と読み取る側に回る
ということだ。
抑え込むほど歪んだ形で噴き出す
感情は、行き場を失うと、歪む。
寂しさを誰にも言えない
弱音を見せられない
甘えたら嫌われる気がする
こういう状況が続くと
本来は誰かとの対話や安心で満たされるはずだった部分が
刺激でごまかされるようになる。
本当に欲しかったのは
安心やつながりなのに
そこに直接アクセスできないから
代わりに
すぐ手に入る快楽
に飛びつく。
快楽は、確かに即効性がある。
だからこそ、中毒性もある。
感情の流れをせき止めると
圧力が上がる。
その圧力が限界を超えたとき
人は極端な行動に走る。
一気にやりすぎる
予定していなかったことまで手を出す
自分でも引くぐらいの時間をそこに使ってしまう
こういう暴走の裏には
見てもらえなかった感情が溜まりに溜まっている。
抑え込むことは、一時的な静けさをくれる。
けれど
根本の感情を無視したままフタを閉めると
いつか歪んだ噴き出し方で戻ってくる。
戦うのではなく意味を読み替える
じゃあどうするか。
ここで必要なのは
戦争から撤退して
情報の読み取りに切り替えることだ。
オレはな
欲望そのものよりも
欲望が出てきたタイミングと頻度
のほうを見たほうがいいと思っている。
仕事でやらかした日ほど強くなるか
誰とも話さなかった日ほど増えるか
自分を役に立たないと感じたときに出てくるか
こういう観察をしていくと
欲望はただの敵ではなく
お前の中の弱っている場所を指さしている
マーカーのように見えてくる。
意味を読み替えるとは
欲望を
オレをダメにするもの
から
オレの状態を教えてくれるサイン
に変えることだ。
サインとして扱えるようになると
対処の選択肢が増える。
刺激に行く以外に
できることは本当はたくさんある。
ただ、その話に入る前に
もう一つ大事なことをやる必要がある。
それは
オレはこんな欲望を持っているから終わっている
というラベルを
ここで一度剥がしておくことだ。
欲望を敵にしたままでは
どんなテクニックも
自己否定を補強するための材料にしかならない。
ここまで読んでいるお前は
少なくとも
自分を変えたい側
の人間だ。
オレはそこを見ている。
欲望の中身よりも先に
その一点を、ちゃんと評価している。
オレが見てきた「抜け出し始めるやつ」の共通点
オレは、性でもゲームでも酒でも
いろんな依存っぽいループから
少しずつ抜け出していくやつを見てきた。
完璧に勝つヒーローより
ボロボロになりながらも戦い方を変えていくやつのほうが
長期的には強い。
その中で、共通しているポイントがいくつかある。
完璧にやめようとしないやつから変わる
まず一つ。
いきなり
今日から二度とやらない
という宣言から入るやつは、だいたい折れる。
気合いでスタートして
三日くらいは頑張れて
四日目あたりで崩れ
一気に自己嫌悪が爆発する。
そのたびに
オレはやっぱりダメだ
という証拠が一つ増える。
逆に、抜け出し始めるやつは
最初から完璧を狙っていない。
今日ゼロにできなくてもいい
ただ、前とおんなじ負け方だけはしない
このくらいの温度で始める。
例えば
回数をいきなりゼロにするんじゃなくて
時間帯をずらす
強さを一段弱くする
終わったあとに自分を殴るのだけはやめる
こういう
壊滅戦争じゃなくて消耗を減らす調整
から入る。
完璧主義を捨てるのは
堕落じゃない。
長期戦をやる覚悟を決めたやつの戦略だ。
欲望のせいにせず、自分の本音を見に行く
抜け出し始めるやつは
こんなふうに考え始める。
オレは何から逃げるために、これをやっているんだろう
どんなときに、欲望が急に強くなるんだろう
欲望そのものを悪者にするのをやめて
その奥にいる本音を探し始める。
仕事でミスした日が多いなら
叱られた怖さや、評価が落ちる不安を
誰にも吐き出せていないのかもしれない。
誰とも話さなかった日に強くなるなら
単純に
今日、お前は誰ともちゃんとつながれなかった
という事実が、心に穴を開けているのかもしれない。
こうやって
いつ強くなるか
何のあとで強くなるか
を観察し始めると
オレは性欲に振り回されているんじゃなくて
処理できていない感情に追われているんだな
という感覚が、薄くでも分かってくる。
ここに気づけるやつは
欲望を責める代わりに
自分の状態をケアする方向へ
少しずつ舵を切れる。
小さく「別の選択肢」を試すことから始める
もう一つの共通点は
いきなり大きなことをやろうとしないことだ。
欲望が来た瞬間に
絶対にやらない
とは言わない。
代わりに、こうしてみる。
5分だけ別のことを挟む
風呂に先に入る
一回、深呼吸だけする
メモに今の気持ちを書きなぐってからにする
こういう
微妙な寄り道
を作る。
ここで大事なのは
勝ったか負けたか
だけで判断しないことだ。
たとえそのあとにいつもの行動をしてしまっても
そこに行くまでのルートを一センチでもズラせたら
それは十分な変化だ。
抜け出し始めるやつは
この一センチをバカにしない。
今日、5分持ちこたえたなら
それはゼロ分から5分に変わったということだ。
自分を責めるやつは
結局やってしまった
だけを見る。
自分を変え始めるやつは
それでも一歩分は違った
という事実を拾い上げる。
この積み重ねが
ある日ふと
あれ、最近前ほど暴れてないな
という実感につながっていく。
変化は、いつも
分かりづらいところから始まる。
ここからお前が選べるルートの話をしよう
ここからは、少し現実寄りの話だ。
オレが魔法で全部きれいにすることはできない。
けど、お前が自分で選べるように
いくつかルートを並べることはできる。
どれが正解か、じゃない。
今のお前にとって
一番しっくり来る一歩はどれか
それを感じるためのメニューだと思ってくれ。
今日からできる一つ目のズラし方
まずは、一番小さいところから。
例えば、こういうルールを一つだけ決める。
夜、スマホを触る場所を変える
ベッドの上では見ない
トイレや風呂場にはスマホを持ち込まない
あるいは
見るなら時間を決める
深夜二時以降は開かない
〇分を過ぎたら強制終了する
これは
根性で我慢しろ
と言っているんじゃない。
環境と習慣のセットを
少しだけ崩すための工夫だ。
ここでは
大事なのはゼロか100かじゃなくて
自分で決めたラインを一つ守る
という感覚だ
ということだけ、持っていってくれ。
しんどくなったときに思い出してほしいこと
ループがきついとき
心の中はだいたい、こうなっている。
オレなんてどうせ変われない
今さら頑張っても遅い
誰にも言えないし、分かってもらえない
この声が大きくなっているときは
行動の前に
この三つだけ、思い出してほしい。
一つ。
今まで変わらなかったのは
お前がダメだからじゃなく
戦い方が一種類しかなかったからだ。
二つ。
お前の欲望や依存っぽい行動は
誰も守ってくれなかった感情を
何とかしようとした痕跡でもある。
三つ。
ここまで読んでいる時点で
お前はすでに
自分を諦めきれなかった側
の人間だ。
この三つを完全に信じろとは言わない。
ただ
今のオレを全部否定する材料として
使うのだけはやめてやれ。
落ち込んでいるときは
思考も行動も極端になりやすい。
そういうときは
変わろうとすることより
自分をこれ以上傷つけないこと
を優先していい。
それだけでも
依存の燃料は、少しずつ減っていく。
もっと深く知りたいお前への案内
ここまでで
仕組みの話
心の話
戦い方の話
をざっくり見てきた。
ただ、これだけで全部ひっくり返るほど
人生は甘くないことも、オレは知っている。
それからもう一つ、大事なことを言う。
この記事は
医者やカウンセラーの代わりにはならない。
もし今
日常生活が崩れ始めている
仕事や学業に明らかな支障が出ている
死にたいとまで思うことが増えている
そんな状態なら
オレの文章と並行して
専門家の力も借りてほしい。
強がりをやめて
助けて、と言えることも
一つの強さだ。
ここまで読んだお前は、もう分かっているはずだ。
性依存っぽくなっている自分は
ただのダメ人間でも
救いようのないバカでもない。
欲望に振り回されているうちに
ずっと見てもらえなかった感情が
静かに溜まり続けてきた
その結果でもある。
オレは魔王。
快楽も依存も、逃げ場のない夜も
全部知っている側だ。
だから、オレはお前を責めない。
代わりに、お前自身が
自分を責めすぎないように
何度でも言葉を投げる。
この記事は、始まりにすぎない。
オレは、お前が
自分で自分の火種を消さないほうの選択を
選び直せるように言葉を書いている。
また迷ったら、戻ってこい。
何度でも、ここからやり直していい。





